2008年1月18日金曜日

強制動員の遺骨4体韓国へ 室蘭、赤平 市民団体が来月返還

戦時中、道内で強制的に動員され、死亡した朝鮮半島出身者のうち、室蘭と赤平の寺に安置されていた遺骨四体が二月、遺族の求めに応じ、市民グループの手で韓国に返還される。一般労働者の遺骨返還に対する政府の対応が遅れる中、遺族の高齢化もあり、やむを得ず先行して実施する。
 韓国に帰る遺骨は、室蘭市の光昭寺の鄭英得さん(死亡当時十六歳)、李廷基さん(同十五歳)、具然錫さん(同十七歳)、赤平市の宝性寺の趙龍文さん(同三十九歳)。鄭さんら三人は室蘭の当時の日本製鉄で働き、米軍艦の艦砲射撃で犠牲となった。趙さんは赤平の北炭赤間炭鉱で労働し、死亡した。
 遺骨返還は「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」(札幌)と、同フォーラムの呼びかけで室蘭、赤平両市につくられた「市民の会」が共同で行う。二月二十六日に韓国入りし、遺骨を遺族側に返還、天安市郊外の共同墓地に納骨される。
 朝鮮半島出身者の遺骨返還問題では、旧日本軍の軍人・軍属については日韓で返還に合意。東京・祐天寺に安置されている遺骨百一体が今月二十二日、政府の「追悼の辞」や「弔慰金」付きで返還される。しかし、それ以外の一般労働者については調査段階にとどまっており、返還のめどが立っていない。
 同フォーラムによると、身元が判明しないことなどから道内の寺に安置されたままの遺骨は、確認されているだけで百九体あり、過去にも民間の手で十体が韓国に返還されている。
 同フォーラムの殿平善彦・共同代表は「一般労働者の遺骨も国や企業の責任で返還されるのが筋」として軍人・軍属と同等の扱いを求めていく一方、「追悼、和解のためには市民の手で行う意味もある」と話している。

(北海道新聞より引用)

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