2007年6月6日水曜日

道産ワイン

大洪水に備えて箱舟を造る。船大工たちには、牛や羊の肉とともに、赤と白のワインが振る舞われた。古代メソポタミアのギルガメシュ叙事詩に書かれている。旧約聖書の「ノアの箱舟」はこの話が原型だと考える人もいる▼「叙事詩」は四千年ほど前に成立した世界最古の文献だ。それに出てくるくらいだから、ワインの歴史は古い。八千年ほど前には飲まれていた。麦や米よりも、ブドウは発酵させやすかったかららしい▼日本でワインを最初に造ったのは明治になってからだ。北海道でも開拓使が製造を試みた。やがて、十勝管内池田町が旗手となり本格生産が始まる。それから四十年ほどしかたっていない▼道産ワインの会社は、今や十指に余る。札幌・大通公園のライラックまつり(二十七日まで)に足を運んだ。ワインガーデン(七丁目)をのぞく。出品各社の製品が多様でおいしいことに目を見張った▼ワインは大地が生み出す。北海道のような冷涼な土地は、さわやかなワインが向いている。飲めばすっきりと、夏場に合った味わいだ。歴史はまだ浅いが、ブドウ栽培の適地は、今後も広がる可能性があるという▼風の中、噴水の周囲に並んだテーブルに座る。咲き始めたライラックの花を見ながら道産のワインとチーズを楽しむ。至福のひとときである。週末は雨模様との予報だが、北海道の味を楽しめる晴れ間がほしい。

(北海道新聞より引用)

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